木に登ったザアカイさん
「今日、救いがこの家を訪れた。この人もアブラハムの子なのだから」。 ルカ福音書19.1-10

昔イエスさまの時代に、ザアカイという人がエリコという町に住んでいました。この人はお金持ちでした。ただ寂しいことに、友だちがいませんでした。それは人をだましたり、脅したりして、お金持ちになっていたからでした。そのため町の人々からは嫌われていたのです。
あるとき、イエスさまがザアカイの住んでいる町に来られました。人々はイエスさまを見ようとして、道路に大勢集まってきました。ザアカイも同じように、イエスさまを一目見たいと思い、町へ出ていきました。しかしもう人々でいっぱいだったため、イエスさまが見られるよう前の方に行くことができませんでした。おまけに彼は背が低かったため、よけい大変でした。そこで彼は先回りして木の上に登り、そこからイエスさまを見ることにしたのでした。
やがてイエスさまが、ザアカイのいる木の下までやって来られました。そのときです、イエスさまは上を見上げてザアカイに声をかけられたのでした。「ザアカイ、急いで降りて来なさい。今日は、ぜひあなたの家に泊まりたい」。
この呼びかけはザアカイに驚きでした。というのは、それまで自分に声をかけてくれる人、しかも自分の家に泊まろうとまで言ってくれる人はいなかったからです。ザアカイはこれまで友だちと呼べる人は一人もいませんでした。自分も他の人々に対して、避けて生きてきました。人々から冷たい視線を投げかけられることにより、余計むきになり、反抗的な態度を取るようになり、それによってますます周りから孤立していったのです。ザアカイは他の人を利用することはあっても、自分から心をゆるすことはありませんでした。それでもどこか寂しく、人の優しさに飢えていたのも事実でした。だから声をかけられたとき、そして自分の家に泊まってくれる、お客さんとして来てくれるとまで言われたとき、ザアカイはとても嬉しかったのです。
皆さんも保育園や学校でどうでしょうか。お友だちがいっぱいいたほうが楽しいですね。一人でいるより、お友だちと仲良く遊ぶほうが楽しいにきまっています。もしだれからも声をかけてもらえなかったら、悲しいことです。ザアカイさんはそのような人だったのです。だから一人木の上に登ってイエスさまを待っていたのです。そのような一人ぼっちのザアカイさんにイエスさまは声をかけられ、しかも家に来てくださるとまで言われたのですから、ザアカイさんはどれほど驚いたでしょうし、嬉しかったでしょうか。
「ザアカイ、急いで降りて来なさい」とイエスさまは言われました。ザアカイは町の人たちから冷たくされていただけに、余計背伸びをして生きてきました。人から馬鹿にされないよう、見栄を張ったりして、必要以上に自分を大きく見せようとしてきたのです。しかしもうそうした無理をする必要はありません。「降りて来なさい」とはありのままのあなたでいいんですよ、偽りの高さから降りてきなさいと、イエスさまが招いてくださったからです。イエスさまは、ザアカイと同じように、わたしたちにも今そのように声をかけてくださっているのです。(高橋牧師記)

